ラクーンのYoutubeチャンネルでお届けしている恒例企画、社内の専門家を紹介するコーナー「Raccoonプロフェッショナルズ」。
第三弾でインタビューするのは、技術戦略部・テクニカルディレクターの羽山(はやま)とスーパーデリバリー・コンサルチームリーダーの元(はじめ)です。司会は引き続き、広報の大久保が担当します。
今回は「おっさんずナビ」という社内用AIアシスタントについて、開発者である羽山と元の二人に詳しく話を聞きました。
本記事を通じて、ラクーンで働く人々やその仕事の裏側を知ることで、読者のみなさまにラクーンで働くことの魅力を感じ取っていただければ幸いです!
今回のRaccoonプロフェッショナルズ

羽山(はやま)
株式会社ラクーンホールディングス
技術戦略部 テクニカルディレクター

元(はじめ)
株式会社ラクーンコマース
スーパーデリバリー コンサルチームリーダー
目次
社内用AIアシスタント「おっさんずナビ」とは?
まずは、クスッと笑えるネーミングのこのツール、お二人が開発された社内用AIアシスタント「おっさんずナビ」について簡単に説明させてください。
ラクーンでは社内コミュニケーションにSlackを利用していますが、Slackには過去の会話や文書など膨大な社内情報が蓄積されています。ここから必要な情報を探すのって意外と大変です。そこで登場したのが「おっさんずナビ」。Slack上で動作して、検索キーワードに応じて必要な情報を素早く見つけてくれる、AIアシスタント機能です。

具体的な活用例を一つご紹介すると、例えば「モニターが映らない」というトラブルが発生した際に、Slackで「モニターが映りません、助けて」と誰かが技術部にメッセージをしたとします。そうすると技術部が返信をする前に、おっさんずナビが動いて、過去の回答をもとにすぐに対処方法を提示してくれると。
今回この「ラクーンプロフェッショナルズ」の構成を考える際にも、一生懸命壁打ちに付き合ってくれて、本当に役立ってるツールです(笑)
「おっさんずナビ」誕生のキッカケは社内AI勉強会
ー開発に至った経緯として、とある勉強会がキッカケになったということですが、そのあたりから伺ってもよいでしょうか?

羽山:2022年末から2023年の初頭ぐらいに、世の中にChatGPTが登場しました。我々もこの技術を活用すべきだという話が出てきていました。
ただ、やはりエンジニアじゃない方からは若干とっつきにくいものではあったと思います。 そこで、2022年入社の技術戦略部の新卒メンバーが「ChatGPTの勉強会をしたい」という話を上げてくれて、2023年8月頃に「ChatGPT勉強会&LT大会」というものが開催されることになりました。
これが好評だったので、12月末くらいに第2回をやるぞという話になって。ここから「プライズ(賞品)」みたいなものが登場し、社内のメンバーから投票してもらってどれが一番良かったかを決めるようになりました。実際に動くものを提案する人も登場し始めました。
そして、2024年4月に開催された第3回で我々が「おっさんずナビ」を提案した、という流れになります。

ーAIの活用に関しては、ChatGPTが登場する前からサービスに組み込んできましたよね?

羽山:そうですね。我々ラクーングループは元々AIを開発・活用していました。具体的には、フィンテック事業における審査AIの開発です。フィンテックの領域はアルゴリズムや計算など論理的なのもので構成されているので、計算式によって成り立ちます。
最近はあまり耳にしなくなったかもしれませんが、「機械学習」や「深層学習」といった技術を活用して、フィンテック事業で保有している大量のデータを分析・学習させ、企業の信用度を測定・判定する、そういったものを開発していました。
「おっさんず」結成の理由は “若手に負けたくない” & “副賞の台湾旅行”
ー第3回のLT大会にペアで出場されたわけですが、どのような経緯で組むことになったのでしょうか?

元:第1回・第2回は若手の人たちが多く出場していたので、「若手に負けてられないな」っていうのがあって。「おっさんずで頑張ろうよ。副賞の台湾旅行に一緒に行こう」って、AIに詳しい羽山さんを決め打ちで誘いました(笑)
ー第3回の優勝賞品が台湾旅行だったんですね!

羽山:もう我々、取る前提で話してましたよね(笑)
Slack上のコミュニケーション課題を「逆ベクトル検索」で解決する「おっさんずナビ」
ー「おっさんずナビ」のアイデアにたどり着いたキッカケは、何かありましたか?

羽山:Slack上のコミュニケーションには色々な課題があると思っていたので、個人的に元々Slackボット(Slack上で動くアプリ)を作りたいと思っていました。
例えば、Aさん(疑問を持っている人)とBさん(疑問に対する答えを知っている人)がいたとします。AさんとBさんがお互いに相手をよく知らない場合、DMしづらいですよね。さらに、Bさんが知っているということをAさんはそもそも知らないかもしれない。そこで、そういった一方通行の知識を繋げるようなBotができないかな、というところからスタートしたのが「おっさんずナビ」です。
ー「おっさんずナビ」の開発において、コスト面での制約をどう乗り越えたのでしょうか?

羽山:ご存知の通り、ChatGPT自体は一般的な情報しか持っていません。ラクーンホールディングスの社内情報を元に判定してもらうには、データを取ってくる必要があります。
当時(2024年1月頃)よくあった手法は、ベクトルDBという特殊なデータベースを用意して、必要なデータを全部保存し、そのデータベースを検索するというものでした。ただ、これは少し面倒なんですね。ベクトルDBを用意しなければいけないし、データも入れなければいけない。何のデータを入れるのかという話にもなってくる。それを常に新しい情報にアップデートするのもすごく大変です。

考えてみると、Slackはデータの宝庫です。社内の情報をたくさん持っている。じゃあこれを使った方がいいんじゃないか。そんな考え方で開発したのが「逆ベクトル検索」です。ベクトル検索は、1つのワードで関連する情報をたくさん引っかけてくれます。例えば「休暇」というキーワードなら「年休」なども引っかかる。そういった意味で情報源として活用されるのですが、Slackの検索だとそれはできないんですね。
そこで考えたのが、「休暇」というキーワードから色々な単語をたくさん生成して、そのたくさんのキーワードで全部検索してしまえばいいんじゃないか、ということです。発想の転換ですね。ベクトルDBでやっていたようなことを、普通のキーワード検索で実現する。そうすると、Slackという情報ソースをそのまま使うことができます。
「おっさんずナビ」の特徴は、実は何の用意も必要ないことにあります。アプリを起動するだけで、そのSlackグループの中にある情報を知っている、まるで社員の1人のようなアプリが登場するんです。

人間らしく振る舞う生成AIボット「おっさんずナビ」
ーおっさんずナビの特徴として、「人間らしさ」や「他者を紹介する」といったところもあると思っています。開発する上で工夫したポイントはありますか?

羽山:そのあたりの機能に関しては、実は最初から「これは絶対に実現したい」と思っていたポイントです。「人間のように振る舞う」というところですね。
よくあるSlackのボット(Slack上で動くアプリ)は、話しかけないと答えてくれないものが多いんですよね。例えば、そのアプリに対してメンションして質問したらそのアプリが答えてくれる、みたいな。これだと、そのアプリを使おうと思わなければ使えません。
「おっさんずナビ」は、使うつもりがなくても使える状態にしたかった。それが工夫したポイント、「人間らしく振る舞う」というところです。例えばチャンネル上で質問があって、その質問に自分が答えられると思ったら、答えますよね。そういう性善説的な動きを人間はするかと思います。
そのような動きを「おっさんずナビ」でもしたかった。そうすると、使うつもりがなかったのに結局恩恵を受けているという状態が作れると思って。「おっさんずナビ」が「この情報だったら、この質問だったら答えられる」と思った時だけ、メンションしていなくても勝手に返答してくれる。そんなところを重視して開発・設計しました。

ー「おっさんずナビ」を今後もう少しこういう風に発展させられたらいいな、というビジョンはありますか?

羽山:現状「おっさんずナビ」は(Slack上で動いているので)Slackの情報だけを使っていますが、我々が情報を持っている場所は他にもたくさんあります。そういったものも情報ソースとして使えるように発展していければいいなと考えています。
ラクーンで活躍するエンジニアの特徴は「自分が作ったものを誰かが使ってくれて嬉しい」と思える人
ー今回は業務外でペアを組んで…ということですが、普段からお二人のように事業サイドのメンバーと開発サイドのメンバーは密なやり取りをしているのでしょうか?

羽山:そうですね、そこは我々の魅力の1つだと思っています。事業を運営している事業部門とエンジニア部門は二人三脚で、そこに例えばデザイナーさんなども加わって一緒にやっています。それぞれが持っているスキルセットが違うので、それらをうまく融合していくところが一番の醍醐味だと思います。
ーラクーンで活躍したいと考えている方に向けて、ラクーンのエンジニアはどういう方に向いているでしょうか?

羽山:「自分が作ったものを他の誰かが使ってくれて、それを嬉しいと思えるような方」がすごく合うんじゃないかなと思います。
例えば、私自身も「おっさんずナビ」を社内のみんなが使ってくれたら嬉しいですし、我々のグローバル展開しているサービスに関する開発であれば、自分で考えた機能が実際のサイト上で実現するんですよ。そして、それを世界中の方が使ってくれる。
さらに、その世界中の方々(BtoBなので事業をやられている方々)の事業が成功する、よりうまく回るといったことが起こると、すごく面白いですね。それがデータで見えたり、「あの機能がすごく使われている」という感想を得られたりする。そんなところに楽しさを感じられる方が実際に活躍していると思います。
ラクーンはあらゆる面からAIをフル活用できる環境
ー羽山さんはこれまでも様々なAIツールの開発をされています。今現在の動きとこれまでの動き、AIエンジニアという視点から見て何か違いはありますか?

羽山:ここ最近で大きく変わったと思います。ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)が登場する前は、機械学習や深層学習のような「AIのモデル自体を作る」人たちがAIエンジニアと呼ばれていました。
それが昨今、「ChatGPT(LLM)をうまく活用する」人たちがAIエンジニアと呼ばれるようになって、今では主流になっています。そのため、以前のような「AIのモデル自体を作る」部分は少し影を潜めているような状況です。
ーラクーンでは、そういったAIの活用も積極的にできる環境になっていますか?

羽山:はい、そこは両方の意味でその通りだと思います。ChatGPT登場以前のようなAI自体の開発もやっていますし、ChatGPTのようなものをうまく活用してサービスに組み込んでいくこともしています。昨今だと開発自体をAIに任せる部分もあります。色々な技術や仕組みがあるので、我々はフル活用している状況です。
まとめ
今回はラクーンのYoutubeチャンネルの企画「Raccoonプロフェッショナルズ」第三弾、「おっさんずナビ」についてのインタビューをお届けしました!
ラクーンで働くことの魅力を感じてもらうことはできたでしょうか?
この記事をご覧いただいたエンジニアの方で、「社会に良い影響を及ぼすラクーンのサービス開発を一緒にやってみたい!」と思ってくださった方がいれば、ぜひ一度採用サイトを訪れてみてください。あなたのキャリアがラクーンで始まるかもしれません。ぜひ一緒に働いて、共に成長していきましょう!
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