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【ラクーンの挑戦】第24回「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」を行いました

こんにちは、広報インターンの田島です。

新型コロナウイルスの影響で私たちの日常が大きく変わる中、ラクーングループでは今年も株主総会を行いました。今回は、例年とは違った形の「ハイブリッド型バーチャル株主総会」に挑戦したので、その全貌をまとめてみました。

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは?

出典:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド について

1.ハイブリッド出席型

開催場所と株主との間で、ネット環境を通して問題なく会話ができる場合、リアル出席型の株主同様に審議に参加した上、決議にも加わることができるものです。

2.ハイブリッド参加型

ライブ配信などを通して、株主が株主総会の中継を観ることができます。しかし、会社法上、審議中の議決権行使や質問はできません。参加型を希望された株主の方へは、事前にネットと郵送での議決権行使と質問の受付**を行います。

3.バーチャルオンリー型

文字通りリアルの会場を設けず、全てオンライン上で完結するやり方です。現状、日本の会社法では認められておらず、米国を中心に利用され始めています。

上の3種類の方法は、インターネットを経由するため、株主自身が会場へ出向く必要がありません。したがって、自宅から気軽に参加できるという点で、今までの「リアル株主総会」とは大きく異なります。まとめると下記の図のようになります。

*今回ラクーンホールディングスで実施した総会はハイブリッド出席型ですが、環境的な課題から動議とその審議への参加はリアル会場のみ可としました。

**今回は質問の事前受付は行いませんでした。質問をその場で受け付けて、直接お答えしたいという役員の意向があったためです。

なぜ今、バーチャル型株主総会なのか?

実はラクーングループではコロナ以前から、「ライブ配信」を用いた株主総会を検討していました。というのも、昨今のIT技術の進歩おかげで技術的なハードルが下がったのと、株主の方の移動の負担がなくなり、より多くの方が参加できるようになるのでは?と考えていたからです。

今年は、感染予防を徹底した本社オフィスを「リアル会場」とし、YouTubeを使った「バーチャル参加型会場」、そしてZoomを使った「バーチャル出席型会場」という3つの会場をかけ合わせたハイブリッド型での株主総会を実施しました。

このハイブリッド型株主総会を同時期に実施した企業は、上場企業約1000社ある中でもラクーングループを含めて5社程度だったようです。この挑戦は見事に成功し、多くの株主の方から好意的なご意見を頂くことができました。

本番の様子

最前線の声から浮かんできたこと

ここで、株主総会を担当された社員さんとのインタビューの様子をご紹介します。

Q.「なぜ、ハイブリッド型の株主総会を行ったのですか?」

A.「最初に準備を始めたのは、まだコロナウイルスが拡大する前でした。経済産業省から、ハイブリッド型の株主総会のすすめがあり、どうせやるなら一番難易度が高い、バーチャル出席型に挑戦したい。そう思いました。」

慣れない環境設定に悪戦苦闘

Q.「準備期間が長かったようですが、具体的にどんな準備をしたのですか?」

A.「当時はバーチャル出席型の株主総会を行う企業はとても少なく、業者の見積もりがものすごく高かったので、自分たちでなんとかできないかと方法を模索していました。ちょうど同時期に全社的にZoomの導入を行ったので、これは使えるかもと思いZoom利用を前提としたプランを構成しました。」

実際の総会はこのように、画面分割で見えています!それにしてもモニターが多いような…

Q.「従来の株主総会と比べて、難しかったことを教えて下さい」

A.「あまり一般的なやり方ではなかったため、法律の面でのハードルが高かったと思います。弁護士の方と何度も相談を重ねて、バーチャルでも株主総会としての要件を満たせるように試行錯誤を繰り返したのが大変でした。」

「総会当日の準備も会場が複数あり、リアル会場の設営とは勝手が違ったので、思った以上に時間がかかりました。」

当日の打ち合わせの様子、皆さんかっこいい

今回の総会の担当社員さんには、「全社的に評価すべき大きな成果、功績を残した社員」としてラクーングループよりグループ賞が授与されました!おめでとうございます!

結局、どう違うのか?

会場が一つではないところが今までの株主総会との最大の違いであり、音声や映像で開催場所と株主とを繋ぐことが前提でした。特に「バーチャル出席型」では、複数の会場において音声や映像のやりとりをスムーズにしなければならないので大変です。実際、リハーサルは小規模のものを合わせて10回以上行いました。これは、ラクーングループとしては前例のない挑戦で、繰り返しの確認作業が何より必要だったからです。(今までは全体リハーサル1回のみ)

細かい調整が必須なんです

もともと、高品質の音声と映像を提供できるように機材を準備していましたが、技術的なトラブルによって総会の進行に支障をきたすリスクに鑑みて、よりシンプルな環境設定で対応しました。

ハイブリッド型バーチャル株主総会を行ってわかったのは、参加したい人が、参加できるようになったことです。当たり前のように思えますが、リアル型だと時間や仕事の都合で参加できない方は多いです。一方バーチャルでは、スキマ時間に覗いてみたり、遠方にお住まいの方でも自宅から参加できたり、代理人出席をする必要が少なくなったりと、多様性に富んでいるように思われます。

今回は、ラクーングループに興味のあるすべての方が配信を視聴できるように、コーポレートサイト上に配信用のURLを掲載しておきました。株主以外の方も直に経営陣の戦略を聞くことができ、より多くの方に中・長期計画をお伝えすることができるようになったことも、バーチャル株主総会の魅力の一つではないでしょうか。

株主の方にとっては質問を行う際、リアル会場と比べると心理的に発言しやすい環境でもあり、「これからも続けてほしい」「面白い総会でした」「聞いたことはあるけれど、実際にバーチャルで開催する企業は珍しい」といったお声を頂戴しています。一方で、主催者としては株主の方の目を見て話すことが難しい点は課題です。

バーチャル株主総会を行う際の心得として

ハイブリッド型バーチャル株主総会を行う上では、入念な準備が当日のアクシデントを避けるための近道であり、唯一の方法かもしれません。あらかじめ複数のプランを用意し、プランAが機能しないときに、すぐにプランB・Cで対応できるようにしておくことが大切です。

また、インターネットを通して開催場所と株主がネット経由でつながるため、主催者側で管理しきれない場合があることについても知っておかなければなりません。

どうなる?コロナ後の株主総会

現状、日本の株式会社におけるバーチャルオンリー型の株主総会は認められていません。一方、世界的には米国の30以上の州を始めとし、バーチャルオンリーの株主総会は既に認可されつつあり、実際に多くの企業で運用されてきています。

出典:Shareholder Engagement is Increasing via Technology, Broadridge Hosts its 1,000th Virtual Shareholder Meeting

バーチャル株主総会の利便性と、コロナウイルスの影響とが相まって、日本でもバーチャル型株主総会へのニーズは急速に高まっています。これを受け、日本でも、一定の要件を設けた上でのバーチャルオンリー型株主総会を認める方向へと法改正されるのは、そう遠くないかもしれません。

後日談が!

ブログの冒頭で「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」をご紹介しましたが、今回こちらを作成した経済産業省経済産業政策局企業会計室の方々と意見交換の機会をいただきました。(このブログも読んでいただきました!)

新しい株主総会の形が今後も広がっていくよう、ラクーンホールディングスとしても協力できることがあればと思います。