【AIがもたらすFinTechの革新】Rakuten FinTech Conference2017に潜入


 

「Rakuten FinTech Conference2017」というイベントをご存知でしょうか?

こちらは楽天株式会社が主催する、Fintechに関する大規模なイベントです。

国内外からFinTech(フィンテック)のトップランナーが招かれ、最先端の動向についてパネルディスカッションや講演等が行われます。

今回私は、こちらのイベントをライブ配信にて視聴しました。そこで印象に残った部分ついて、パネリストさんたちのコメントを引用しながら書いていこうと思います。

 

「宿題をがんばる前髪パッツンの女の子宿題をがんばる前髪パッツンの女の子」[モデル:ゆうき]のフリー写真素材を拡大

 

私が視聴した講演のタイトルは、「AIがもたらすFinTechの革新」です。

 

AIがもたらすFinTechの革新

 

まずはパネリストのご紹介をしておきます。こちらの講演でパネリストを務められたのはトビーさん、入山さん、柳川さんのお三方(以下 敬称略)です。

 

トビー・カッペッロさん:人工知能ワトソンを開発する「IBM」で働く人工知能のプロ

入山 千恵子さん:投資運用会社「ブラックロック・ジャパン」の株式戦略部長

柳川 範之さん:人工知能に対して知見の深い、東京大学大学院経済学研究科の教授

 

ちなみにモデレーターは楽天株式会社で執行役員(AI推進部ジェネラルマネージャー)をされている、茶谷さんでした。

 

金融業界は、組織改革を避けて通れない

 

AIを導入すれば組織の改革が求められるということは、みなさん薄々感じている部分ではないでしょうか。

この頃、大手銀行がベンチャー企業と協力して新たな取り組みを行う事例をよく目にしますが、これからは銀行も自力で新たな取り組みを進めていく必要があるようです。

そのためには、組織の改革が必要になってきます。

 

「勉強する女の子勉強する女の子」[モデル:ゆうき]のフリー写真素材を拡大

 

柳川さん「人間同士の最適組織と人間とAIの最適組織は大きく異なります。そのため、組織を大きく組み替えていく必要がある。これは日本企業が苦手とする部分です。現在は大きな組織改革は生じていないですが、金融業界も大きな組織改革が不可避だと考えています。ベンチャーとの協業だけでなく、組織自体の改革が必要です」

 

超過収益の源泉を、AIによって発掘する

 

AIは膨大な情報を瞬時に処理し、人間が気付かないような軸でも判断を下します。

これらの処理能力、スピードをいかに生かせるかが、投資運用会社をはじめとする、あらゆる金融関連企業の行く末を決定づけていくようです。

 

「暗号通貨マイニング暗号通貨マイニング」のフリー写真素材を拡大

 

入山さん「投資運用における超過収益は、情報の非対称性と価格の非効率性から生まれます。だからこそ、人が手に入れづらく気づいていない、処理しづらい情報をより早く入手することが投資運用では重要です。ここでAIが活躍するでしょう」

 

企業に必要なのは、常に一歩先か二歩先を進むこと

 

AIに関してもそうですが、それ以外の部分においても、企業が優位性を保つためにはちょうどよい具合で先を読んだ戦略が必要となります。

しかし、これは技術革新が目覚ましいスピードで進む現代において、極めて難しい課題のような気がしてなりません。

 

「マザーボードのコイン型電池(CMOS電池)マザーボードのコイン型電池(CMOS電池)」のフリー写真素材を拡大

 

入山さん「今はAIが注目されていますが、現在の技術は将来当たり前になるかもしれません。常に一歩先か二歩先を進むための技術とアイディアが重要です」

 

AIに対する人間の相対的有利性は「発想力」

 

AIによって人間の仕事がなくなるのではないかと危惧している人も多いような印象ですが、AIによって仕事が奪われるというより、AIを活用してそれを知恵として活用していくことが人間の仕事になっていくようです。

こうしてAIが得意なことはAIに任せることで、人間が持つクリエイティブな部分がより一層重視されることは、喜ぶべきことなのかもしれません。

 

「絵の具とパレット絵の具とパレット」のフリー写真素材を拡大

 

 

柳川さん「AIが導き出した結果を見た人間が、自分自身の持つ知恵を使って新たな知恵や知見を生み出していくことに、AIに対して人間の相対的な優位性があると思っています。もちろん、それは誰でもできるわけではない。人間ならではの発想力が問われます」

 

AIがもたらすのは、人間の能力拡張である

 

前述した柳川さんのコメントもそうですが、「いかに人間の仕事をなくせるか?」ではなく「いかに人間の能力を拡張できるか?」という表現の違いこそが、AIを語る上で重要な視点だと感じました。

「AIによって仕事が奪われる」ではなく、「AIによって仕事が効率化されたら、自分は何ができるだろう」。

そう考えることが、AIと人間の双方を活した組織づくりの第一歩かもしれません。

 

「おしゃれでアンティークな電球おしゃれでアンティークな電球」のフリー写真素材を拡大

 

トビーさん「AIの働きとして、いかに人間の能力を拡張できるか?が重要だと考えています。人間は仕事における役割と責任が変化していくと考えます。AIを利用して、いかに知恵にたどり着くことができるかが重要となってきます」

 

人にしかできない仕事に注力できる環境を、AIが創出

 

ということで、まとめ。

AIそのものだけで万能的な強みを発揮するという認識ではなく、「人間の能力を拡張するため、あるいは人だからこそできる部分に注力できるようにするためにAIを活用する」という認識を持つことが重要なんですね。

そして個々人が人間特有のクリエイティビティや発想力を鍛え、企業がAIと共に働くための組織改革を進めていけば、素敵な未来を拓いていけるような予感がしています。

 

「虫眼鏡で観察する小学生虫眼鏡で観察する小学生」[モデル:ゆうき]のフリー写真素材を拡大

 

トビーさん「例えば、アドバイザーに対してお客さんからの質問に答えられるようにした企業の例があります。96%の質問をワトソンが答えられるようになったのです。この企業では、社員はお客様の質問に答えるために情報を探すのではなく、顧客満足度向上に集中できるようになりました。AIを活用することで人間がもたらすものを強化し、お客様に価値を提供できるようになった一例です。今後、AIの知恵の部分を向上させたり、感情の理解をさせたり等が可能になっていくでしょう」

 

今後もしばらく、AIとFintechからは目が離せそうにないですね!

以上、山崎がお送りしました。それでは、また次回!