こんにちは!
BtoB後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の広報担当、山崎です。
先日、一橋大学大学院フィンテック研究フォーラムとSBI大学院大学金融研究所共催のカンファレンス「AI革命で進化するフィンテック」に参加してきました!
そこで第3回に引き続き、今回もその内容と感想についてレポートします。
最終回である今回は、経営共創基盤代表取締役・冨山和彦さんの講演内容をもとに「企業が生き抜くための組織改革の必要性」についてまとめていこうと思います。
「間」にいると、企業は生き残れない
企業が優位性を保つには、”両端” をとる必要性があります。
両端とはすなわち、バリューチェーン※の川上(キーコンポーネント)と川下(プラットフォーマー)のことです。
キーコンポーネント(原材料の調達)
サプライヤー(製造)
プラットフォーマー(サービスの提供窓口)
※バリューチェーンとは、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考え方です。 競争戦略の第一人者であるマイケル・E・ポーターが提唱した理論で、昨今、企業戦略の策定には欠かせないフレームワークとなっています。『購買物流』→『製造』→『出荷物流』→『販売・マーケティング』→『サービス』という一連の流れがバリューチェーンの主活動です。
DareConより引用
ここでもう少し、企業活動について詳しく見ていきましょう。
企画、開発 付加価値高
部品生産 付加価値中
組み立て 付加価値低
販売 付加価値中
アフターサービス 付加価値高
このように企業活動の真ん中に位置する中間業者というポジションにいる限り、企業は低い付加価値しか提供できず、価格競争にさらされてしまいます。
今後、AIによって第四次産業革命(シンギュラリティ)とも呼ばれる、衝撃的なイノベーションが起きると予想されています。
そのため企業はバリューチェーンにおけるポジショニングを意識して、新たなビジネスモデルを創っていく必要があります。
イノベーションが起きるときは「何がどう変わるのか」をベースに、どういうビジネスモデルがいいのかをゼロから考える必要がありますが、今あるブレークスルーの材料をベースにして、自分たちの成功事例等から抜けてゼロから考えなければなりません。
コンサルトップが、地方のバス会社を買収するワケ
冨山さんは現在、地方のバス会社を買収しているそうです。
「一見すると気が狂ったように見えるかもしれません。買収している理由は、エリアを独占できるからです。競争相手がいない、下がっていく。つまり成長性はありません。
しかし、企業にとってはマーケットの拡大より『稼ぐこと』が重要です。
例えばUberが浸透しても、駐車場や車自体は必ず必要になります。今後自動運転が進んでも、駐車場や車自体を管理する事業者は必要になります。つまり、そういうことです」
選択するのは、ゆるやかに右肩上がりの産業がいいと冨山さんは言います。
なぜなら、破壊的イノベーションが起きる分野はジグザグな線を描くからです。
破壊的イノベーションが起きる時は、先ほど述べたように「間」にいるとダメになってしまいます。黒か白か、両極の意思決定が必須です。
そのためボトムアップの意思決定では遅く、企業には巧妙かつ迅速な意思決定が必要とされます。
「究極のサラリーマン」が組織をダメにする
巧妙かつ迅速な意思決定を行うには、多様なプロフェッショナルが経営陣として集う必要があります。
経営陣が内部から昇進してきた中高年男性ばかりの会社は、いわゆる「究極のサラリーマン」が経営している会社ということになります。
このように1社しか経験したことのない経営者が運営しているということは、日本の企業が抱える非常に大きな課題です。
そのため日本は現在、早急にエリート人材を輩出する必要性に迫られています。
ここで言うエリート人材とは、
「あれかこれか?」「あれもこれも?」とボトムアップで上がってきたものを仕分けして、「あれか?」「これか?」と適切なタイミング(最適な時は尚早と言われる)で合理的な判断を下し、「迅速かつ的確な意思決定を行える」人材のことです。
昨今、有名なアルゴリズムはオープンソースになっています。
企業はこの先生き抜いていくために、腹をくくって「やる」か「やらない」か、そして「白」か「黒」かの両極の意思決定を行い、この ”借り物競争” を制していかねばなりません。
バリューチェーンの「川上」と「川下」を押さえるビジネスを展開し、巧妙かつ迅速に「やる」か「やらない」かの意思決定を下せる経営陣が集う会社であれば、そう遠くない未来に起こるであろうイノベーション、第四次産業革命(シンギュラリティ)にも淘汰されず、生き残ることができるのではないでしょうか。
以上、AI革命で進化するフィンテック④「企業が生き抜くための組織改革の必要性」でした!今回で「AI革命で進化するフィンテック」シリーズは最終回です。
それではまた、別の連載でお会いしましょう!