「洗練された」「品質」「コスパ」がキーワード?中国EC市場で販路を拡大するには


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ラクーンコマースでは、BtoB越境EC「SD export」を中心に、国ごとにローカライズしながら海外展開を進めています。その一環として、中国向けの販路拡大にはアリババグループの「Tmall Global(天猫国際)」上に旗艦店を出店して行っています。

国内の出展企業の海外進出をサポートするために、4月2日にアリババ社との共同ウェビナーを開催し、中国のEC市場の概況に加え、SD exportやTmall Globalで簡単に販路を拡大する方法を紹介しました。

今回のブログでは、その中でも特に中国市場向け越境ECの概況アリババの最新情報をお届けします!

アリババとは

みなさんは、アリババと聞くとどんなイメージを浮かべますか?おそらく、中国のECプラットフォーマーを連想するのではないでしょうか。もちろん、それは間違いではなく、アリババグループの中でコマース事業は最も大きな売上率を占めており、同グループはBtoC,BtoB,CtoCの幅広いeコマースプラットフォームを抱えています。実はほかにも、インフラ、金融サービス、そしてエンターテインメント等のトータルサービスを提供しているグループとしても知られています。

なんとその年間売上高は約7兆6460億円グローバル年間アクティブコンシューマー数は9億6000万人と、非常に大規模であることがわかります。

特に、中国で独身の日とされる11月11日に開催される「ダブルイレブン」という年間最大のECショッピングイベントでは、期間内GMV(取引総額)が約7.9兆円(2020年)であり、日本国内ECプラットフォームの年間GMVの約3.8兆円と比較しても尋常ではないスケールであることがわかります。

中国越境ECについて

結論から言うと、中国は現在世界最大の小売市場であるといえます。数字を根拠に説明すると、日本の小売市場全体の市場規模が142兆円であるのに対し、アリババグループの中国国内向けECの市場規模だけでも97兆円と非常に大きいといえます。

中国のネットユーザーは8億人であり、同国は4億人の中間所得者層を有します。比較として日本のネットユーザーは1億2千万、中間所得者層は1300万人といわれています。また2020年までに中国国内のEC化率は25%を超え、特に沿岸部でその傾向が顕著に現れています。一方、内陸や北部は比較的EC化が遅れており、展開の余地がある市場といえるかもしれません。

Tmall Globalの特徴

他のサービスと比較したTmall Globalの優位性としては、現在の市場の動向として越境ECが堅実に伸びていることを大前提に、アリババグループのEコマースが中国市場全体の6割のシェアを獲得していることが最大の優位性といえるのではないでしょうか。

また、アリババの3大ECプラットフォームの特徴として、それぞれが独立しているわけではないことが挙げられます。これは同社の3大プラットフォームのいずれかに出店することで、プラットフォームを横断的にまたいだ検索が可能になるということです。例えば、Tmall GlobalにA社が出店した場合、Tmall、タオバオでも検索結果としてA社が表示される可能性があるということです。

したがって、Tmall Globalを利用して越境ECによる海外販路拡大を推し進めることで、他のサービスよりも多くの消費者にリーチすることができるかもしれません。

中国における輸入消費市場の加速

2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの消費者は海外へ渡航しなくなりました。これを受けて中国国内のアウトバウンド需要が増加傾向にあるのがここ最近の消費動向です。また、その中でも越境ECの伸び率は19年から20年にかけて30%以上となっており、eコマース市場をけん引している状況です。

実際にTmall Globalへ新規出店した海外ブランドは前年比125%増え、Tmall Globalで新発売された輸入品は前年比130%増となっており、新規海外ブランドの利用が増加していることがわかります。

アリババの新戦略

アリババグループは海外製品を継続的に中国の消費者に届けるための戦略として「新カテゴリー」「新ブランド」「新商品」の導入を積極的に行っています。最近では、上記の3つの戦略に加えて「新モデル」(ブランドステーションと呼ばれるブランド支援としてのプロモーション活動)や「新産業チェーン」(中国消費者に向けた商品開発に協力し中国市場向けの商品を販売する新世界工場を目指す活動)を加えた「5つの新戦略」をもって事業拡大を狙っています。

消費者の属性と商品ニーズ

商品が「売れる仕組み」を作るには消費者を知ることが必要不可欠であることは言うまでもありません。ここでは、急拡大する中国のEC市場を支える消費者の特徴や彼らのニーズについて紹介します。

ECを支える消費者

中国のEC市場を支えているのは主にデジタル世代と呼ばれる10代後半から30代前半のボリュームゾーンです。このレイヤーの規模は約4.5億人とされています。実はこの層の消費者をさらに細分化することができ、「ミレニアル世代」「ジェネレーションZ世代」に大別できます。

ミレニアル世代とジェネレーションZ世代の特徴と比較画像

(セミナー資料をもとにラクーンホールディングスにて作成)

ミレニアル世代の特徴としては「目が肥えており高級志向」で、ジェネレーションZ世代の特徴としては「感度が高く、自分に合った商品を求める」といった傾向があるようです。

消費者を表すキーワード

ここでは、上述した消費者たちがどのようなキーワードで表現できるかを考えてみます。前提としては、これらの消費者はリテラシーが高く、「海外商品=良い」といった盲目的な購買行動を取ることは少ない傾向があります。

それを踏まえて出展企業側が意識したいキーワード群としては、

  • ヘルシー
  • トレンディ
  • 各地の味
  • 洗練された
  • 旅行好き
  • ライフスタイル
  • コスパ
  • 品質

などが挙げられます。これらのキーワードを念頭に置いて訴求することができれば、中国のデジタル世代を惹きつけることができるかもしれません。

効果的なアプローチ

では、このターゲットレイヤーに刺さるように訴求するにはどうすれば良いのでしょうか。これまでに彼らの特徴としては「デジタルネイティブでリテラシーが高い」と説明してきましたが、これを踏まえたアプローチをとる必要がありそうです。

いうまでもなくデジタルを用いた施策は必須ですが、最近では「エンタメ性」がより重要視される傾向があるようです。例えば、「Eコマース×エンターテインメント×ソーシャルメディア」というように、ソーシャルメディアというプラットフォームでのエンターテインメント要素をトリガーにEコマース上の販売店に流入させる方法などが挙げられます。

Tmall内の検索アルゴリズムに対するSEO的な観点からも、工夫を凝らした施策が必要になってくるのではないでしょうか。コロナ禍でライブコマースが売り上げ拡大を後押ししたように、コンテンツマーケティングがコロナ後もカギを握ると予想されます。将来的には、YouTube StarやInsta Famousと並ぶライブコマースで影響力を持つ新たなインフルエンサーも生まれるかもしれません。

まとめ

■中国のEC市場の動向
・中国のECマーケットは非常に規模が大きく、これからも成長していく余地がある。
・アフターコロナは今まで以上に輸入品に対する需要が高まる可能性がある。

■消費者像
・若いデジタルネイティブが活発で、市場をけん引している。
・ターゲットを理解したうえで、適切なキーワードを用い、共感を得ることが必要。

■越境ECのスタンス
・越境ECは海外展開をする際に最も取り組みやすい。
・Tmall Globalは様々な販売方法とトータルソリューションを提供している。

以上、アリババ社との共同セミナーより、Tmall Global(天猫国際)情報を中心にまとめました。

中国市場へ販路拡大ならSD export

最後に少しだけ宣伝をさせていただきます!

中国市場は魅力的で、ますます存在感を高めています。ただ、日本の中小企業にとっては、言語の問題や配送システムへの対応、中国での認知度向上のためのプロモーションコスト負担などTmallに出展するハードルがあることも事実です。SUPER DELIVERYを通して出品するのであれば、国内の倉庫に商品を預けてもらうだけで簡単に販売することができ、費用も抑えてスタートできますので、お気軽にご相談いただければと思います!

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(社長室インターン 田島)