受注額1.5倍!日本が世界を魅了する「越境EC 伝統工芸品 年間ランキング2023」(SD export)


ラクーンが運営する「スーパーデリバリー」は、国内メーカーと小売店やサービス業などの事業者が取引する卸・仕入れサイトです。日本の事業者を対象とした国内版に加え、世界134か国への卸販売が可能な越境版「SD export」も展開しています。

そんな「SD export」では、2023年の伝統工芸品全体の受注額は前年比1.5倍でした。そこで今回は「SD export」で2023年に注目された人気の伝統工芸品をランキング形式で発表します!さらに、それぞれの伝統工芸品の特徴や歴史についてもご紹介していきます。

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10位:江戸硝子 – 東京の繊細な伝統ガラス工芸品

江戸硝子は、東京で発展した伝統的なガラス工芸品です。江戸時代後期に始まり、手吹きガラス技術による繊細かつ洗練された製品が特徴です。透明感と軽やかさ、そして繊細な彫刻や色付けによる装飾が見られます。現代では、その技術を活かし、日本の美意識を反映した新しいデザインの製品も生み出されており、国内外で高い評価を得ています。

9位:若狭塗 – 福井の美しい伝統漆器

若狭塗は、福井県小浜市周辺で作られる漆器で、江戸時代に小浜藩の御用職人が若狭湾の海底模様を図案化して作ったことが始まりとされています。この漆器の最大の特徴は、貝殻・卵殻・松葉・金箔を色とりどりの色漆で塗重ねた繊細な模様と鮮やかな色彩です。また、すべての工程をひとりの職人が一貫して行うので、それぞれの作品に個性が強く出ることも特徴です。使い手の手に馴染む形状と美しい外観は、日本の伝統工芸の中でも高い評価を受けており、時代に合った新しいデザインの研究も進められています。

8位:美濃和紙 – 岐阜の柔らかで丈夫な伝統和紙

美濃和紙は、岐阜県美濃市の伝統的な和紙で、1300年以上の歴史を有します。美濃和紙はその柔らかな質感と丈夫さで知られ、書道用紙としてはもちろん、障子や襖などの表具など日常生活の様々な場面で利用されています。さらに、 アメリカのスミソニアン博物館やイギリスの大英博物館、フランスのルーブル博物館などが所蔵する古文書や絵画など、国宝級の文化財の修復にも用いられています。美濃和紙の特徴は、水と繊維の豊かな自然環境に支えられた製法にあります。近年では伝統技法を守りつつ、新しいデザインや用途にも挑戦しています。

7位:有田焼- 佐賀の色彩豊かで繊細な磁器

有田焼は佐賀県有田町で生産される日本を代表する磁器の一つで、1616年に朝鮮半島から来日していた陶工によって始められました。特徴はその豊かな色彩と繊細な絵付けで、特に染付や色絵の技法においては世界的にも高い評価を受けています。有田焼は歴史的な価値と共に、現代のテーブルウェアとしてもその美しさを発揮し、国内外の食卓を彩っています。

出展企業:三光堂商店

6位:常滑焼- 愛知の素朴で力強い炻器

常滑焼は愛知県常滑市を中心に生産される炻器で、古くからの窯業地区として知られています。その原料は酸化鉄であり、それが赤く発色するために常滑焼は朱色になります。知多半島で採れる鉄分を多く含んだこの陶土は耐火性に優れ、特に急須などの用途で知られます。伝統的な常滑焼は素朴で力強い表情を持ち、独自の地位を確立しています。近年では、その伝統を活かしながらも現代の生活スタイルに合わせた製品開発が行われています。

5位:信楽焼- 滋賀の自然を映す伝統陶器

信楽焼は滋賀県甲賀市の信楽地域で生まれた陶器で、素朴なあたたかみが特徴です。 信楽高原鐵道信楽線の信楽駅を降りれば、たくさんの信楽焼の狸が迎えてくれます。そんな信楽焼は狸の置物や器だけではなく、身の回りの日用品にも多く使用されています。歴史は古く、鎌倉時代には既にその名が見られ、茶の湯文化の中で茶器としても重宝されました。現代においても、その伝統的な技法は守られつつ、新しいデザインや用途への挑戦が行われています。

4位:今治タオル – 愛知の誇る高品質タオル

愛媛県今治市で製造される今治タオルは、その優れた吸水性と肌触りの良さで、国内外で高く評価されています。今治タオルの歴史は120年以上にわたり、日本のタオル産業の中心として発展してきました。今治タオルの最大の特徴は、その高い品質です。「5秒ルール」という品質基準をクリアしたタオルのみが「今治ブランド」として認定されます。このルールは、「タオル片を水に落としたとき、5秒以内に沈み始めないといけない」というものです。

この高い品質は、豊富な水資源と絶え間ない技術革新から生まれます。今治タオルの特徴といえば「先晒し先染め」製法です。「先晒し先染め」とは、初めに綿糸の晒し(精錬、漂白)と染色を行い、色糸でタオルを織る方法のことを指します。今治タオルは硬度が低く不純物が少ない水で晒すことで糸を傷めず、ふんわりとした仕上がりを実現しています。その品質の高さから、今治タオルはホテルや高級スパ、さらには海外の有名ブランドからも注文が絶えません。SD exportでも台湾からの熱烈な支持を得ています。

3位:波佐見焼 – 長崎の高品質でモダンな陶磁器

波佐見焼は、長崎県波佐見町で生産される陶磁器で、そのシンプルでモダンなデザインが特徴です。波佐見焼の歴史は400年以上前に遡り、江戸後期には染付の生産量が日本一になりました。

特に注目すべきは、そのデザインの多様性と実用性。伝統的な青白磁や染付けなどの技法を用いながらも、現代の生活スタイルに合ったシンプルで洗練されたデザインが多く見られます。また、波佐見焼は、その高い品質と実用性で、日本国内外で高い評価を受けています。日々の生活で使うお皿やマグカップなど、使うほどに愛着がわくアイテムが豊富に揃っており、これが海外バイヤーの心を捉えています。

出展企業:松尾商店

2位:九谷焼 – 石川の華やかな色絵陶磁器

九谷焼は石川県が生んだ色絵陶磁器で、その華やかな装飾が特徴です。九谷焼の始まりは江戸時代初期とされ、大聖寺藩主の前田利治が藩土である後藤才次郎に命じて加賀の国江沼郡九谷焼村で初めて焼成させたと伝えられています。

特に有名なのはその独特な色絵技法です。藍青色で線描きし、赤・黄・緑・紫・紺青の五色の絵の具を厚く盛り上げて塗る彩法で、山水や花鳥などを絵画的に描き出します。九谷焼の成形、素焼き、本焼き、絵付けといった各工程では職人の高度な技術と経験が必要とされ、そのすべてが一つ一つの作品に反映されています。SD exportではこの独特な技法と美しさが特にアメリカで評価され、お正月デザインのおちょこや置物が人気商品となっています。

出展企業:九谷焼の陶寿堂

1位:美濃焼 – 岐阜の誇る多様性に富む陶磁器

美濃焼は岐阜県を代表する伝統工芸品で、国内外で高い評価を得ています。その特徴は何といっても多様性にあります。これまでに様々な様式が誕生していますが、その中でも基本とされるのが黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部の四様式です。それぞれに独自の美しさと技術が反映されています。 美濃焼は1300年以上という長い歴史を誇っており、そのシェアは日本の半分以上を占めるとも言われています。江戸時代には茶の湯の文化の影響を受けて、茶陶としての地位を確立しました。現代においても伝統的な技法を守りつつ、新しいデザインや色彩を取り入れた作品が生み出されています。このような歴史的背景と職人たちの技術が、SD exportでは台湾を中心に海外バイヤーの目を引いています。特に美濃焼のマグカップが人気です。

出展企業:ブルーム

まとめ

日本の伝統工芸品はその独自の美しさ、高い技術、実用性で、国内外の人々を魅了しています。伝統を大切にしつつ、時代に合わせて革新を続ける日本の職人たちの技と情熱が伝統工芸品に息吹を吹き込み、新たな価値を生み出しているのです。

SD exportの2023年における伝統工芸品全体の受注額は冒頭に述べた通り前年比1.5倍、特に有田焼は前年比2.9倍、美濃和紙は前年比7.2倍の受注額でした。今後の動向にも注目したいですね。

以上、SD export伝統工芸品 年間ランキング2023でした。
また来年もよろしくお願いいたします!